－快適な住環境を手に入れるために行ったリフォームで健康被害・・・－最近、こうしたトラブルが増えているそうです。リフォームに使われる建材や接着剤などの中には、身体に悪影響を及ぼす成分を含むものもあるので注意が必要です。今回は外壁塗装が原因で起こった健康被害トラブルを取材しました。
神奈川県小田原市に、奥さんとお子さんの3人で暮らす小城哲治さん。築15年のご自宅の外壁を2年前の夏に塗り替えたところ、予想もしなかった健康被害に遭われたそうです。
施工を頼んだのは、地元で有名な外壁専門の工事会社。普段から積極的に広告宣伝活動を行っていて、新聞の折り込みで何度も目にしていたことがきっかけで、工事を依頼したそうです。
問い合わせを受けて翌日にやってきた担当者は見るからに好青年。「さすが地元で評判の会社。スタッフの教育もしっかりしている」と、小城さんもとても良い印象を受けたそうです。そのためもともとは塗装だけを頼む予定だったところ、少し気になり始めていたベランダの防水工事もまとめて頼むことにしました。現場のチェック、見積り、スケジュールの確認と、すべてが順調に進み、これといったトラブルもなく、工事は5日間で無事に完了しました。
「もともとはベージュだったのですが、思い切って白と黒を基調としたモノトーンカラーに変更しました。かなりイメージが変わるので回りの景観との調和も含めて多少の不安はありましたが、出来上がって見ると非常に見栄え良く、とても満足しました」
ところが、工事が終わってから2日後、異変が起きます。実は塗装工事をしている間、お子さんは所属する少年サッカーチームの合宿で家におらず、工事が終わった次の日に帰宅しました。そして翌日、なかなか部屋から出てこないのを心配した奥様が様子を見に行くと、強い吐き気と眩暈を訴えたのです。すぐに病院に連れて行ったところ、やがて症状は改善したため、半日ほど休んでから家に戻りました。
しかし、帰宅してから数時間後、部屋で休んでいたお子さんが再び吐き気を訴えました。小城さん夫妻は慌てて最初に行った病院に駆け込みました。
－いったん収まった症状が帰宅してからわずか数時間で再発・・・－
もしかしたらお子さんの部屋に何かしらの原因があるのではないかと考えた先生は、小城さんは、
「最近、お子さんの部屋に新しい家具を買ったとか、何か変化はありませんでしたか？」
と尋ねました。小城さんは数時前に外壁の色の塗り替えと、ベランダの防水工事を行ったことを告げました。それを聞いた先生は、
「塗装に使った塗料や防水材などに、お子さんの体が反応しやすい有害物質が含まれていた可能性があります。一度、工事を頼んだ会社の方に相談してみてはいかがでしょうか？」
と小城さんにアドバイスしました。お子さんはとりあえず、そのまま1日病院に預けることにし、翌日小城さんは早速、工事を頼んだ会社に連絡しました。すぐに担当者がやってきて、
「塗料は大手メーカーのもので、当社で長年使っているものです。人体に影響を与えるようなことはないはずです。もしかしたら防止工事で使用した合板が悪かったのかもしれません。ちょうど、お子さんの部屋はベランダに面した影響を最も受けやすい位置にあります。すぐに工事をやり直すので、いったんそれで様子を見て頂けないでしょうか？」
対応が迅速かつ丁寧だったことから、小城さんはひとまずその提案を受け入れ、ベランダの防水工事をやり直してもらうことにしました。その間、お子さんは近所に住む奥様の実家で預かってもらうことにしました。
再工事にあたり、原因の可能性がある合板は撤去して代わりの木材を施工。再度、防水処理をして仕上げた。また、万が一の場合に備え、担当者は工事で使用した製品に関する資料をまとめて、小城さんに手渡しました。
工事が完了した翌日、お子さんは自宅に戻り、普段通りに過ごしました。
－また症状が出たらどうしよう・・・－
小城さん夫妻の心配をよそに、今度は吐き気などの症状は一切出ませんでした。安心した小城さん一家は、その後、リフォームした家で快適な日々を過ごしておられます。
住宅用の建材やその施工に使われる接着剤などには、人体に悪影響を与える有害物質が含まれていることがあります。例え微量であっても、敏感な方はすぐに体が反応し、ひどい場合だとアトピーや喘息などを引き起こすこともあります。何か異常を感じたらすぐに専門家の診察を受け、原因を取り除くようにして下さい。快適かつ健康な住環境に関するご相談は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。
