購買心理学から見る日本経済とプロレス(第5回)ゲスト:スタン・ハンセン|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2020.06.01

購買心理学から見る日本経済とプロレス(第5回)ゲスト:スタン・ハンセン

購買心理学から見る日本経済とプロレス(第5回)ゲスト:スタン・ハンセン
25年間も第一線で活躍し続けることは、どの業界でもほんの一握りの人しかできない。その意味で、本人は謙遜するものの、スタン・ハンセン氏の歩んできたキャリアは特筆すべきものだ。
 20年前は、10年間で残る企業は10%と言われていた。現在はインターネットやSNSの普及によりその期間はもっと短く、6、7年になってしまっているのではないだろうか?しかし、逆にその力を利用して、知名度のある会社が新規事業を起ち上げるのであれば、スムーズなスタートを切れるかもしれない。これから起業する人は、どのようにしたら良いのだろうか?購買心理学の視点で考えてみると、大事なのは①「興味」②「価格」③「実績」④「安心」の4点に分類される。

①興味
まずは、お客様に自社のことを知ってもらわなければならない。例えばラーメン屋であれば、OPENセールのためにチラシやネットなどにコストを投下して【広告】を打たなければならない。しかも、ただ広告を出したけではお客様は来ない。【明確な差別化】をする必要がある。
競合は多数いるのであるから、普通の広告では、すでに実績がある会社へお客様は流れてしまうし、そもそも内容的に興味をそそらないから反響がない。

1.例えば、商品そのもので差別化を図るのであれば、『日本一高い昆布で出汁を取っています』『この激辛食べきれますか?』、『健康素材、すべて国産仕様』、『ポッコリお腹に効果ありの絶品スープ』というようなキャッチフレーズが必要だ。最近、流行りの『インスタ映え』も差別化にあたる。

2.価格(コストメリット)で差別化する場合、『デカ盛り1000円』、『65歳以上割引』『地域で一番安い‼一杯290円』などが効果的だ。あえて『地域で1番高いお店です』を謳うのも、お客様の興味を惹く材料になる。高い=美味しいのだろと認識するからである。

3.利便性・利用者メリット
この場合は、『駅近2分』『キッズスペースあり』『深夜2時迄営業中』といった差別化ができるだろう。

以上、3パターンで差別化は構成されている。これらを組み合わせることで、「当社は特徴がないからね…」と言っている店舗でも差別化が図れるのである。

 当然、飲食店であれば、「味にこだわっている」という点を一番に謳いたいところだが、味が良い=繁盛店ではない。他の業界で見ても、職人の腕が良い=儲かる会社ではなない。「ここの店は、味は美味しいのだけど流行っていないんだよね」という店もあれば、味はそれほどでもないけど「いつ来てもいっぱいだよね」という店もある。また、繁盛店を見習って真似してみても、うまくいくところといかないところがある。
 昼間から子供連れの主婦が多く集まるようにと、キッズスペースのある料理店をオフィス街で開いてもうまくいかない。どんな店にすればうまくいくのか、それを知るためにはまず調査をする必要がある。では、調査とはどのように行えば良いのだろうか。ポイントは、お客様の①「年齢層・職業・性別」②「所得層」③「時間帯」④「地域柄」⑤「競合店」の5つだ。

1「年齢層・職業・性別」
お客様の年齢層によって、タピオカ屋をするのが良いのか、和菓子屋をするのが良いのかは変わる。また、サラリーマンなのか経営者なのか、水商売なのか、職業によって売り方も変わってくる。

2「所得層」
低所得層が多いため、安価で販売するというのであれば、回転率と来店頻度を上げなければならない。逆に高単価で販売できる場合は、1日2組限定というやり方も可能だ。

3「時間帯」
早朝なのか深夜なのか、夜勤明けの人が多い地域であれば、朝5時から営業でも、地域にそこしか空いているお店がなければ繁盛店になるかもしれない。

4「地域柄」
都心と田舎では営業手法も違うし販売手法も違う。

5「競合店」
実は一番重要なのがこれだ。顧客対象者が多い地域でも、競合となる店舗が10店舗もあれば儲からない。逆に、顧客対象者(需要)が少なくても、その地域に1店舗しかないのであれば、利益率を上げられるので儲かる。

(次号につづく)