真説 賃貸業界史 第23回「誕生から30年のコインパーキングビジネス」管理会社倒産の歴史」|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2019.12.02

真説 賃貸業界史 第23回「誕生から30年のコインパーキングビジネス」管理会社倒産の歴史」

真説 賃貸業界史 第23回「誕生から30年のコインパーキングビジネス」管理会社倒産の歴史」
病院の空き駐車場を借り上げて業績を伸ばしたパーク24

 今や全国のいたるところで目にするコインパーキングだが、実はその歴史は意外と浅く、誕生してからまだ30年に満たない。相続税対策や土地の一時利用して、今なお根強い人気を誇るコインパーキングの歴史を振り返る。
 3000億円の市場規模を誇るコインパーキングビジネスを最初に手掛けたのは、「タイムズ24」ブランドで知られるパーク24(東京都品川区)の創業者である西川清氏だと言われている。1971年、当時33歳だった西川氏は車産業に大きな可能性を感じ、それまで勤めていた会社を退職してニシカワ商会を設立。駐車禁止表示看板の販売を皮切りに、車関連のビジネスをスタートさせ、駐車場の保守・運営管理などに事業を拡大させていく。そして1990年、日本信号と販売代理店契約を結ぶと、パークロックシステムを利用した24時間無人の時間が市駐車場「タイムズ」の展開を開始。病院の来院者用駐車場を見つけては、「空いている駐車場をコインパーキングとして運用しませんか?」と営業をかけて歩き回ったという話は有名だ。月極や店舗、路上パーキングが当たり前だった駐車場業界に、突如として現れた24時間365日無人運営のコインパーキングは、大きな衝撃を与えた。
 バブル崩壊後の不景気も、「タイムズ」にとって大きな追い風となった。土地の使い道に頭を悩ませていた多くの地主にとって、土地を借り上げてくれた上で毎月の賃料を保証してくれる「タイムズ」は、まさに渡りに船だった。勢いに乗った同社は事業を全国へと拡大、1999年には上場を果たした。現在、同社の運営する駐車場台数は約58万台。最近は海外でも積極的な事業展開を進めており、すでにオーストリアやマレーシアなどでも業界トップの実績を挙げている。
 「タイムズ」の成功は、多くの企業をコインパーキング業界に参入させるきっかけとなった。東証マザーズに上場するパラカ(東京都新宿区)は、パルクとして1997年に設立。「カーパーク」ブランドで、2019年10月末時点で保有・賃借を合わせ、全国で約3万1000台分の駐車場を運営している。
 業界2位(本紙調べ)となる約20万台のコインパーキングを運営するリパーク(東京都新宿区)が事業を始めたのは1999年。「三井不動産」の看板を武器に、全国展開を進め、今年3月に全都道府県への出店を達成した。
 現在は上場を廃止しているが、かわいらしい犬のイラストの「タイムパーク」を運営するテクニカル電子(福岡市博多区)も老舗の一つに数えられる。駐車場ゲートの販売から始まった同社は、1台で複数のロック盤を操作できる自社製の精算機など、自社開発の駐車場機器と、コインパーキングの両輪で業績を拡大。中央無線との合併を経て、2018年に大和ハウス工業傘下の大和リースの完全子会社となり、現在はパーキングソリューションズとしてグループの駐車場事業を牽引している。
 一方で、コインパーキングが世に広がり出した当初は、自ら機器を購入して経営に乗り出す土地オーナーも多かった。しかし、集金や清掃などの業務の煩わしさから、次第に自主運営する土地オーナーは減っていき、今では借り上げ方式によって運営のすべてを専門の事業者に任せるのが主流となっている。
 ここで紹介した事業者以外にも、ユアーズコーポレーション(東京都世田谷区)や日本システムバンク(福井市中央)、アイペック(東京都町田市)、スターツアメニティー(千葉市美浜区)など、コインパーキング事業者は全国に点在している。運営方式や特徴もさまざまで、1台分から借り上げる事業者もあれば、1カ月単位で契約できる短期プランを提案している事業者もある。誕生してまだ30年のコインパーキングビジネス、今後の動向にも注目したい。