タカラスタンダード 大幅減収減益の原因は何か?|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2018.09.03

タカラスタンダード 大幅減収減益の原因は何か?

タカラスタンダード 大幅減収減益の原因は何か?
タカラスタンダード(大阪市城東区)が、わずか3カ月前に発表した好調だった昨年度の決算から一転、2019年3月期第1四半期決算で大幅減収減益に転落した。
 5月に発表した2018年3月期は、純利益こそ84億5500万円で前期から3.0%の減収となったが、連結売上高は前期比2.9%増の1884億300万円、経常利益は同0.5%増の127億4300万円、営業利益は同0.5%王の123億4100万円と、いずれも業績は好調だった。ところが今回の発表で状況は一変、連結売上高は前年同期比3.8%減の460億9400万円、営業利益は同24%減の27億3900万円、経常利益は前年同期比22.3%減で29億4700万円と、いずれも低い水準にとどまり、市場に大きな衝撃を与える結果となった。予想外の業績に、すでに「今期中での挽回は難しいのではないか」という声も一部でささやかれ始めている。
 なぜ、こうした事態に陥ってしまったのか。同社は要因について「新築マンション市場における納入が一時的に谷間となった影響」と説明しているが、果たしてそれだけだろうか。
 タカラスタンダードの主力商品は言うまでもなく、汚れが付きにくく、手入れも簡単なホーロー製の住宅設備だ。中でもとりわけキッチンの人気は高い。一度使うと、リフォームの際に再びタカラスタンダード製を選ぶ人も多い。極端な話、新築時に入れておけば、リフォームの際に再び販売のチャンスが巡ってくるというわけだ。この時はもう価格や値段は関係なく、とにかくホーロー製のキッチンが欲しいという状態だ。これはタカラスタンダードならではの強みだ。
 だが、このビジネスモデルは新築にキッチンが採用されてはじめて成り立つ。リフォームの売り上げは、新築向けの販売実績によって、ある程度決まってしまうのだ。言い換えれば、リフォームの売り上げを伸ばすためには、利益を度外視してでも新築での販売数を増やさなければならない。実際、タカラスタンダードは、リフォームの売り上げを重視した営業戦略を推進していたようだ。ある業者は、「タカラスタンダードのキッチンは新築では安く仕入れることができるが、リフォームだと途端に高くなる」と証言する。
 しかし、今回の四半期決算を見る限り、このビジネスモデルもいよいよ破綻の危機に直面したのではないかと感じる。最大の要因は、新築着工棟数が減少に転じたことだろう。これではリフォームの見込み客を増やすことなど到底できない。今後、新築着工棟数が回復する見込みはまずない。今のビジネスモデルにこだわっていては、やがて業績はどんどん悪化していくことは目に見えている。事態を立て直すためには、一刻も早く手を打つ必要があるだろう。タカラスタンダードの復活はあり得るのか。次回の業績発表にも注目したい。