自然災害鑑定士に聞いてみました「豪雨で自宅が浸水被害 修理費用はどうすればいいの?」|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2018.08.06

自然災害鑑定士に聞いてみました「豪雨で自宅が浸水被害 修理費用はどうすればいいの?」

自然災害鑑定士に聞いてみました「豪雨で自宅が浸水被害 修理費用はどうすればいいの?」
7月、西日本を記録的な大豪雨が襲いました。何日にもわたり降り続いた大雨は、土砂崩れや川の氾濫などを引き起こし、各地に甚大な被害を与えました。洪水で流されたり、浸水被害を受けた住宅は、31都道府県で2万3000棟以上にも上りました。
 ところでみなさんは、豪雨や暴風雨、台風による洪水や土砂崩れなどでご自宅が被害を受けたときに、火災保険が役立つことをご存知でしょうか。台風による被害は「風災」、洪水や高潮、台風による床下浸水などは「水災」として、それぞれ補償されます。もちろん、加入プランによっては、これらが補償の対象外とされているケースもありますが、現在加入できる損害保険のほとんどには、基本的に水災補償が付帯されています。火災保険と聞くと「火災」だけが対象だと思われがちですが、実はそれ以外にも多くのことが補償されているのです。
 さて、今回の集中豪雨では、非常に多くの住宅が床下浸水、床上浸水の被害を受けました。これから火災保険を使って自宅の修理に取り掛かろうという方も多くいらっしゃると思います。しかし、浸水被害を受けたからといって、すべてに保険金が支払われるわけではありません。被害状況によっては、保険金をもらえないケースもありますので、事前に支払要件について確認しておく必要があります。
一般的な火災保険の水災の保険金の支払要件は、

・建物もしくは家財がそれぞれ時価の30%以上の損害を受けた
・床上浸水または地盤面から45㎝を超える浸水 

と規定されています。つまり床下浸水があったとしても、それが地盤面から45㎝に満たなかった場合は補償の対象外となってしまうのです。45㎝と言うと成人男性の膝くらいの高さになりますので、原則として床上浸水したとき、あるいは時価の30%の被害を受けた場合に水災として認められると認識しておくと良いでしょう。なお、水災で保険金を請求する場合は、市区町村で発行される罹災(りさい)証明が必要になります。
 また、次のようなケースも補償の対象外となります。

・建物の老朽化で発生した雨の吹込みや漏入による家財の被害
・大雨や台風で水没した車
・豪雨で自宅の塀が崩れて隣家に被害を与えた
・大雨で転んでケガをした

 最後に、保険が適用されるとして、もらえる保険金はどのくらいになるのか見ておきましょう。これは、加入プランや被害状況により異なります。例えばA社の保険を見てみると、45㎝以上の床下浸水による被害が時価の15%未満と15%以上で支払金額は大きく変わります。前者は100万円を上限に、保険金額×5%、後者は200万円を上限に保険金額×10%となっています。商品によっては、掛け金は高くなるものの損害を100%補償してくれるものもあるようです。
 被害状況によっては、保険金がもらえるかどうか、素人目ではなかなか判断できないことがあります。そんな時は、自然災害の被害状況を診断してくれる「自然災害鑑定士」に相談してみてはいかがでしょうか。