相続不動産相談所「学習塾経営で相続対策ができるって本当???」|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2018.07.02

相続不動産相談所「学習塾経営で相続対策ができるって本当???」

賃貸経営は相続税対策として有効な手段です。しかし、相続税額を決める際に用いられる固定資産税は、建物の空室状況によって評価額が変わり、空室が多いほど減額率が少なくなります。同じ建物であっても、入居率50%の場合と満室の場合では、前者の方が固定資産税は高く評価され、その分だけ相続税も高額になります。つまり、相続税対策の効果を大きくするために、空室対策は欠かせないのです。そこで今回は、ビルの空室を利用した学習塾経営をご紹介したいと思います。
 「少子化の時代になんで学習塾なのか?」と思われる方もいるかもしれません。確かに “少子化”という言葉だけを聞くと、とても将来性のあるビジネスには感じられません。しかしこれは、大きな誤りです。これから子どもの数は確かに減っていきますが、だからと言って塾の需要はなくなりません。むしろどんどん増えているくらいです。
 矢野経済研究所が昨年発表した「教育産業白書」によると、2016年の教育産業全体の市場規模は約2.5兆円で、全体としてはここ数年で縮小傾向にあります。ところが「学習塾・予備校」(約9620億円)と「英会話・語学学校」(約3130億円)の分野に限ってみると、縮小どころか拡大していることが分かります。要因として考えられるのは、「教育の早期化」です。
 ひと昔前であれば、小学生の時点で塾に通うのは、私立中学に進学する一部の子供だけでした。しかし、今は小学生のうちから塾に通うのは当たり前で、中には複数の習い事をしている子供さえいます。幼稚園の頃から英語教室に通う子供も珍しくありません。つまり、以前よりも学習塾に通う子供の年齢層が大きく拡大しているのです。
これは、2020年に実施される予定の教育改革も影響しています。これまでの教育は物事を覚えるだけの暗記学習が主体でしたが、これではグローバル社会で必要とされるチャレンジ精神やコミュニケーション能力を身に付けることができません。その証拠に、日本人の英語力は、お隣の韓国や中国の人よりも低いのです。教育改革では、英語教育が小5から小3年に前倒しされ、さらにプログラミング的思考を採り入れた授業が導入されます。まだ少し先のこととはいえ、教育熱心な親は早い段階でこれに対応しようと、小さなうちから塾などに通わせているわけです。2020年に近づくにつれ、こうした傾向はますます強くなるはずです。
 学習塾経営をお勧めする理由は他にもあります。実は学習塾は、それほどお金をかけずに開業することができます。相続税対策のためとは言え、今以上に借金を増やす必要はありません。店舗型のビジネスでお金がかかるのは、不動産の取得費と内装工事費です。物件を所有しているオーナーであれば、物件取得費は基本的にかかりません。オシャレな内装にする必要もありませんし、豪華な機材を導入する必要もないので、工事費も大してかかりません。ただし、何のノウハウもないままいきなり塾経営を始めることはできませんのです、どこかのフランチャイズに入るなどする必要があります。この場合は、加盟金や保証金などが数百万円かかります。内装については指定がある場合もあるので、お金をかけたくないのであれば指定のない所を選ぶようにすれば初期投資は抑えられます。現在、全国でフランチャイズを含め80教室を展開する「SSS進学教室」(運営:サンマエデュケーション/京都府田辺市)の開業にかかる初期投資は「うちは内装などにほとんどお金をかけませんので、加盟金や機材代などを含めても500万円程度で開業できます。もともと物件を所有されている方であれば、もっと少ない資金で開業することもできます」(田中健一社長)だという。
また、いわゆる進学塾ではないが、最近プログラミング・ロボット教室も少ない資金で開業できる新しい教室ビジネスだ。全国で100教室を展開する「ロボ団」(運営:夢見る/大阪府堺市)の初期投資は、内装にあまりお金をかけない場合で150万~200万円程度。50名の生徒を集めれば、半年~1年程度で初期投資は回収できるそうです。
学習塾以外にも、英語教室や幼児向け教室など、これから需要が増えそうな教室ビジネスはたくさんあります。相続税対策の効果を貯めるための空室対策として、一度検討されてみてはいかがでしょうか。