施工不良はなぜ起こるの?「現場の見える化」で顧客との信頼を強化|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2018.04.09

施工不良はなぜ起こるの?「現場の見える化」で顧客との信頼を強化

リフォームの現場ではよく、「引き渡し後に施工不良が発覚」「日常生活で見えない箇所の工事がずさんだった」というトラブルが発生します。なぜこんなことが起こってしまうのでしょうか?根本的な原因と、それを防ぐための手立てについて考えてみたいと思います。
電気工事のミスでトイレの洗浄機能が停止

 川崎市に住むAさんは、近所にある築35年の木造アパートの1階4室を、一昨年末にまとめてリフォームしました。立地はそれほど悪くありませんでしたが、内装が傷み、設備も劣化していたため、1年半ほど借り手が付かなかったそうです。「このままだといずれ誰もいなくなってしまう」と考え、思い切って4室を大改修することにしました。
工事は2ヶ月ほどで完了。部屋は生まれ変わったようにキレイになり、入居募集を開始してすぐ、全て埋まったそうです。ところが、「これで当面は大丈夫だ」と安心したのも束の間、新しく入った入居者のうち2人から「トイレの洗浄機能が使えなくなった」というクレームが入りました。Aさんが慌てて確認しに行ったところ、便座はウンともスンとも言わず、まったく動きませんでした。工事が終わってまだ2ヶ月、いくらなんでもこんな短い期間で2つも故障はしないだろうと、Aさんは工事をした地元のリフォーム会社X社の担当に連絡しました。すぐに現場確認が行われた結果、トイレ本体は故障しておらず、原因は電気工事の不具合だと分かりました。業者がすぐに対応したため、それ以上の大きなクレームにならず、事なきを得たそうです。

クラウドシステムで複数の現場を同時に管理

 さて、ここからが本題です。どうしてミスを防ぐことができなかったのでしょうか。実は工事が行われた12月から2月はアパート・マンション絡みの工事が立て込む繁忙期で、X社も同時進行の現場を多数、抱えていました。現場監督は一人でいくつもの現場を担当しなければ状態で、細かなところまで目が届かなかったそうです。普段ならその都度、行っていた現場での状況確認も、この期間だけは現場任せにしていました。その結果、工事の不具合を見落としてしまい、今回のような事態が発生したということです。
 いくら優秀な現場監督であっても、いくつまの現場を同時に管理するのには限界があります。かといって、建設業界も人手不足が深刻ですから、新たに人材を雇うのも容易ではありません。ではどうすればいいのでしょうか?有効な手段として考えられるのが、リアルタイムで現場の情報管理を共有できるシステムの導入です。現場の写真や施工に関する細かな情報などを、インターネット上で共有することができれば、直接現場に足を運ばなくても状況を把握することができます。状況次第で次の指示を出すこともできるので、作業効率は飛躍的に高まります。最先端の技術を採り入れることも、顧客との信頼関係を強化する上で大切なことなのです。