不動産業界における仮想通貨の可能性|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2018.04.02

不動産業界における仮想通貨の可能性

物件情報の管理に最適

 コインチェックのNEM(ネム)不正送金事件で大きな注目を集めている仮想通貨ですが、投資対象として人気が高まる一方で、不動産取引に利用されるケースも増えています。
 ビットコインをはじめとする仮想通貨は、いつでも簡単に送金がすることができ、しかも非常に安い手数料で海外と取引することもできます。また、仮想通貨に使われているブロックチェーン技術は改ざんに強い特性を持っていて、過去に記録されたデータを後から書き換えることができません。不動産価格や空室状況、取引履歴、修繕履歴などの情報をこの技術で管理しておけば、いつでも信頼性の高い取引ができます。
 例えば不動産の売買を、コインチェックを使って決済したとします。購入する物件の過去の履歴については、ブロックチェーンで管理されたデータを参考にします。不動産業者サイドにとっても、手間暇かけて書類を用意する必要がありませんので、業務が簡素化されます。また、仮に購入者が海外の方だったとします。実物通貨で取引するとなると、送金のために高い手数料を支払わなければなりませんでした。また、国によっては送金できる金額に制限が設けられていて、取引きできないこともあります。ところが仮想通貨であればこうした心配は一切なく、スムーズに海外の投資家と取り引きすることできます。
 国内で最初に、仮想通貨を使った不動産取引をスタートさせたのはJITホールディングスです。物件の購入代金はもちろん、仲介手数料なども仮想通貨で支払うことができます。ただし、世界で1000種類以上とも2000種類以上とも言われる仮想通貨の中で、取り引きに使えるのはビットコインとイーサリアムだけです。これは、この2つだけが世界の主要国で現金化できるためです。イタンジ(東京都港区)やケリーバックス(東京都港区)なども、仮想通貨による不動産取引サービスを提供していますが、両社も対応するのはビットコインとイーサリアムに限定しています。仮想通貨に詳しいビットコンシェルジュ(東京都港区)の赤石太郎CEOは「グローバル化が進む中で、不動産取引における仮想通貨の需要はますます高まっていくだろう」と言います。今後の動向から目が離せません。