あなたの物件は大丈夫?身近に潜む建物劣化のリスク|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2017.12.04

あなたの物件は大丈夫?身近に潜む建物劣化のリスク

あなたの物件は大丈夫?身近に潜む建物劣化のリスク
小さなひびなら自分で補修も可能

 ビルやマンションなど、コンクリートでできた建物は、年月の経過とともに劣化が生じ、亀裂が入ったり割れたりしてします。特に“クラック”と呼ばれる亀裂が深いと、雨水がそこから構造内に浸透し、コンクリートの中に埋め込まれた鉄骨に錆びを生じさせます。万が一このような事態に陥ると、構造が本来持っていた耐震性能が低下し、地震で倒壊や半壊してしまうリスクが高まります。ひびや破損は、放っておくとどんどん悪化してしまうので、見つけたら速やかに対処するようにしましょう。

コンクリート壁の白いシミは要注意

 外壁のひびや破損は、実際に目で見て確認するしかありません。目の届く範囲であれば、定期的に巡回を行い、確認するようにしましょう。目視できない高い場所などについては、定期的な修繕の際に、専門業者に見てもらうことをお勧めします。ただし、処置すべき箇所はひびや破損など、目で見て分かるものだけではありません。大規模修繕を手掛けるA社の担当者によれば、「白いシミが浮き出ている箇所も危険」ということです。コンクリートは雨水などに触れると、中和されてアルカリ性から中性に変化します。これが鉄骨を錆びさせる原因になるのですが、実は白いシミはアルカリ成分がにじみ出てきたものなのです。つまり、これは目に見えるひびや破損はないものの、雨水がどこからかコンクリート内部に侵入している証拠なのです。当然ながら、一刻も早く原因を突き止め、処置を施さなければなりません。
 では、お持ちの建物に、もしもひびや破損が生じたらどうすれば良いか?もちろん、専門の業者に依頼して直すのが一番理想ですが、何でもかんでも頼んでいたら費用がかさんでしまいます。実は、小さなひび程度であれば、自分で補修用のキットを買って直すこともできるのです。今回は、どなたでも簡単にできるコンクリート壁の補修方法をいくつかご紹介したいと思います。最もポピュラーなものは、セメントチョークという補修材を使った補修法です。これは細かいコンクリートの粉を固めて成型したもので、適量の水分を与えて、問題の箇所に直接塗り込みます。しばらくすると固まって、ひびを塞ぎます。割れ目の奥までセメント粉が入り込むように、コンクリート面に擦りつけるようにしながら作業するのがポイントです。
 また、似たような補修で、スプレー式のものもあります。こちらもひびに直接吹き付けて補修します。いずれも手軽で使いやすいですが、チョークは亀裂の入った部分だけにセメントを塗布することができる反面、作業にはそれなりの力が必要です。一方スプレーは、作業そのものは非常に楽ですが、吹き付ける過程でどうしても液状セメントが亀裂の部分以外にも飛び散ってしまいます。どちらを選ぶかは好みによります。
よりきれいな仕上げを求める方には、防水と接着機能を併せ持った「樹脂スプレー」で日ひびの補修を行った後にセメントスプレーを吹き付けて、目の細かい紙やすりやスポンジで表面を仕上げる方法もあります。チョークやスプレーだけで補修するのに比べると、多少手間と時間はかかりますが、施工後はほとんど跡が気になりません。
 日本は気候の変化が激しいため、どんなに質の良いセメントを使っていても、いずれひびや亀裂が入る可能性はあります。ひびに気付かず放置しておくと、症状はどんどん悪化し、直すのにとんでもない費用がかかってしまうこともありますので、できるだけ細目に建物をチェックするようにしましょう。細かなひびなどは、その都度自分で直せば良いですが、自分の目視だけでは見落としてしまうものもあります。定期的に専門業者にも点検してもらいましょう。