ビルの空室はネットカフェで解決!|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2017.11.13

ビルの空室はネットカフェで解決!

ビルの空室はネットカフェで解決!
今、ビルの空室対策としてインターネットカフェビジネスが再注目されているのをご存知でしょうか?使い方の多様化により、需要が増しているというネットカフェについて取材しました。
都心部では時間帯問わずほぼ満席

 渋谷駅から徒歩8分にある、築20年のビルの3~5階で営業しているインターネットカフェ。ちょっとした仕事を片付けるために入店したところ、「ただいま満室」という答えが返ってきました。時間は13時を少し回ったところでしたが、3フロア合わせて約80席もある個室はもちろん、隣の席を簡易な仕切りで区切っただけのオープン席も空きがないということでした。当分空く見込みもないようでしたので、仕方なく、近隣にある別のネットカフェに行ってみました。ところが何と、こちらも満席でした。
 実は今、都心部では慢性的なネットカフェ不足がちょっとした話題になっています。平日の日中は、休憩所や仕事場として利用するサラリーマンでごった返し、昼を過ぎた頃にはどこの店舗もほぼ満室になるそうです。個室で仕事に集中しやすい環境が整っているだけでなく、ドリンクも充実しているので、ちょっとしたカフェよりも使い勝手が良いというわけです。周りの目を気にせずに仮眠をとることができる点も、利用者に喜ばれるポイントだそうです。
 夜になると、ネットカフェはホテルの代わりとしてフル稼働します。読者の皆さんの中にも、「終電を逃してしまったためネットカフェに泊まった」という経験をお持ち方もいるのではないでしょうか?さらに最近は、外国人観光客が宿泊所代わりに利用するケースが増えているそうです。都心部はホテルの予約がなかなか取れないばかりか、取れても1人8000円とか平気でかかってしまいます。ネットカフェで寝泊まりすれば、3分の1程度の金額で済みますから、旅行客にとってはビジネスホテルよりもはるかに使い勝手が良いはずです。外国人観光客の数は今後もどんどん増えていくことが予想されることから、需要はさらに増えていくのではないでしょうか?

在庫リスクゼロの時間貸しビジネス

 日中と夜とで別の需要を取り込むことでアイドルタイムをなくし、驚くほど高い回転率を実現するネットカフェですが、事業としての魅力はまだまだ他にもあります。全国で「コミックバスター」150店を展開する有信アクロス(大阪市)の原田健清社長によると、「最大の魅力は時間を売るビジネスであること」だそうです。“モノ”を売るビジネスの場合、それを仕入れたり作ったりするのにお金がかかります。いわゆる仕入れ原価が発生するのです。ところがネットカフェの場合、一度箱を用意してしまえば、あとは何も仕入れる必要がありません。もちろんフードやお菓子を売る店舗もありますが、付随サービス的なものですので、収益性に影響を与えることはまずありません。つまりネットカフェビジネスには、仕入れや在庫のリスクがまったくないというわけです。スペースを提供するだけで利益が生まれる、これこそがこのビジネスの一番の魅力だというわけです。
 かかる経費は家賃と人件費、光熱費です。場所が良ければ賃料も高くなりますが、その分集客もできますし、利用料を上げることもできます。複雑な業務がなく、少人数で回せるビジネスモデルなので、人件費の比率もそれほど大きくなりません。したがって、収益性はかなり高くなります。一般的なネットカフェは、投資費用を平均6年で回収してしまうそうです。開業にかかる費用の大半は内装費ですが、オフィス用のパーティションなど利用すればコストはかなり抑えられます。一方で、最近は空間作りにこだわったネットカフェも増えてきていて、そうなると内装費はグッと上がってしまいます。東京駅からすぐの場所にある、高級感をウリにした個室70室のネットカフェは、内装費だけで5000万円かけているそうです。正直なところ、個人的にはそこまでかける必要はないと思います。
パソコンはリース品、マンガは中古で揃えれば十分ですので、それほど多額の費用はかかりません。あえてお金がかかる部分を挙げるとすれば、それはシャワー室だと思います。設置場所によって配管の長さも変わりますし、女性客も安心して利用できるように、防犯にも配慮しなければなりません。それでも既成品のシャワーブースを利用すれば、1室設置するのに50万円程度あれば十分だと思います。また、物件を借りる際には、ビルオーナーもしくは管理会社に保証金を預けなければなりません。これは少なく見積もっても数百万円、高いと1000万円を超えることもありますが、退去時には返金されます。
 諸々の費用を合わせると、ビルインタイプで100坪前後のネットカフェを開業するのにかかる費用は、1500~2000万円くらいが相場と言われています。もちろん広ければ広いほどかかる費用は増えますし、狭ければ費用をもっと圧縮できると思います。仮に100坪で飲食店を開業しようとすると4000万円、5000万円平気でかかってしまいますし、回収期間も長いです。ネットカフェの場合は、初期投資は飲食店の半分で済むうえ、回収期間も短いので、比較的始めやすいビジネスだと言えるでしょう。