死亡事故が発生した物件の告知はいつまですればいいの?|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
豆知識

2017.09.11

死亡事故が発生した物件の告知はいつまですればいいの?

死亡事故が発生した物件の告知はいつまですればいいの?
死亡事故は賃貸経営に付きもの

 滞納、夜逃げ、騒音等々、アパート・マンション経営にはさまざまなリスクが付きものです。中でも特に困るのが、入居者が亡くなられるケースではないでしょうか。
 昨今、少子高齢化や核家族化の影響で、一人暮らしをされている高齢者が増えています。近所にご家族が住まわれていて、定期的に様子を見に来ていれば良いのですが、中には遠くに離れて暮らしていたり、それこそ身寄りのない方もいます。そうした方がいつの間にか、部屋で孤独死していたという話はよく耳にします。若い方が病気などで突然、亡くなられることもあります。これは賃貸経営をしている以上、誰にでも起こりえることです。
 一般の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、孤独死や自殺、事件などで死亡事故が発生した物件のことを、業界では「事故物件」と呼びます。発見時の状況にもよりますが、死亡から時間が経てば経つほど、部屋をもとの状態に戻す作業が大変になります。床や壁紙などをすべて張り替えても、臭いがなかなか抜けないこともあるそうです。どうにか元の状態に戻せたとしても、すぐに次の入居者が決まるとは限りません。むしろ、決まらない可能性の方が高いと考えた方が良いでしょう。わざわざ人が亡くなられた部屋を選んで住もうという方はほとんどいないはずです。
 今は告知義務というものがあるので、死亡事故が発生した物件を、事実を隠して貸し出すことはできません。もしも事実を隠蔽して貸したりすると、入居者にそれが発覚した時に大変なことになるので絶対にやめましょう。ただ入居促進のためにできることは限られていて、ほとんどの場合、家賃や敷金・礼金などの条件をかなり引き下げて募集します。ただ、先程も述べたように、死亡事故のあった部屋にわざわざ住もうという方はなかなかいませんので、それでも募集に半年ないし1年かかることは覚悟しておいた方が良いかもしれません。
 また、家賃を下げるくらいなら、その分お金をかけてリノベーションしてしまおうという発想もあると思います。内装、間取り、設備などをすべて一新してしまえば、「事故物件」のマイナスイメージが多少は和らぐはずです。

告知期間は2年がスタンダード

 では、「事故物件」であることの告知はいつまでしなければならないのか。実はこれには明確な基準がありません。「一度、別の入居者が入れば以後は告知しなくても良い」と考え方もあれば、「●年」とある程度基準を設けている管理会社もあるようです。トラブルを避けるために、ずっと告知し続けている物件もあります。賃貸業界内では「2年」というのが多いようです。過去の裁判例を見ると、告知義務があったかどうかの判断は、「その事実が契約に影響を与えるかどうか」によるようです。何年前であろうと、過去に人が亡くなられたことのある部屋に住みたくという方であれば、当然事実を知れば契約はしないでしょう。この場合は、説明義務があったと見なされる可能性が高くなります。業界の標準と
 また、死亡理由によってもこの辺の判断は異なるようです。例えば他殺は、自然死や病死と比べると事件の凄惨性が著しく高まります。そうなると告知期間は長く考える必要があるようです。