片山さつき参議院議員特別寄稿「日本が輝くために(前編)」|コラム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2017.05.01

片山さつき参議院議員特別寄稿「日本が輝くために(前編)」

片山さつき参議院議員特別寄稿「日本が輝くために(前編)」
女性の就業率を上げるために「待機児童問題」の解決が不可欠

 私は、自民党の政調会長代理であるとともに、昨年秋から、自民党総裁直轄機関である「1億総活躍推進本部」の事務局長を務めております。未曾有の少子高齢化に直面している日本が、がんばって働いてきた国民に、きちんと福祉を提供できるようにするためには、せめて年率2%のGDP成長が必要です。ところがそのGDP成長を実現する上で、生産年齢人口が当分の間毎年少しずつ減っていくという状況は大変なハンディなのです。韓国や中国、欧米先進国も遅かれ早かれ日本と同じ状況に陥ると予測されるため、日本は課題先進国と言われています。残念ながらこの状況に対応する他国の先例は見当たらないので、日本は課題先進国として道なき道を拓くしかないのです。
 一国のGDPとは、誤解を恐れずに単純化しますと、「1人あたりのGP」×「生産年齢人口」×「就業率」で算出できます。1人あたりのGDPは、生産性を上げていくことで向上し、これについてはICTの導入や働き方改革等を通じて、日本において特に諸外国より低いと言われるサービス業の生産性を上げていくさまざまな政策を、アベノミクスの「3本目の矢」として進めています。
 しかし、15歳から64歳までの生産年齢人口の減少は、現在1.4しかない出生率を目標通り1.8に上げても、増えた赤ちゃんが働き出すまで続いてしまいます。そこでそれを補うためには、「日本人の就業率を上げる」「外国人労働者を入れる」といった方法が考えられますが、後者には反対の声が根強くあります。
 我々が最も優先しているのは、先進国ではほぼ唯一M字カーブがいまだに存在して、より低いままの出産可能世代の女性の就業率を上げることです。そもそも人口の半分を占める女性の潜在能力が発揮されていない結果が、今までの日本の成長率の数値なのです。結婚、出産、育児というライフステージを乗り越えて、女性が生き生きと能力を発揮できるような社会を、何とかして作っていく必要があるのです。
その中で最初にクローズアップされたのが「待機児童問題」です。特に都会では「保育園が足りない」「保育園に当たっても自宅や通勤先に比べて遠く、疲れ切ってしまう」「認可保育園に入りたいが無認可しか入れず、希望を出し続けている」「本当は保育園に預けて復職したいが入れず、育児休業を延長している」。これらは政治家が最も多く耳にする国民の不満の1つです。
我々も危機感を持って緊急対策をまとめ、保育の受け皿は「40万人分」としていたのを「50万人分」に、各自治体の取り組みで平成29年度までに合計48・3万人分に増やします。さらに平成28年度から実施している企業指導型保育事業により、約5万人分の保育の受け皿拡大も進めます。他にも待機児童問題を解消するためのさまざまな準備を進めていますが、詳しくは次号でご紹介します。
【プロフィール】
1959 年、さいたま市生まれ。東京大学法学部卒、大蔵省(現・財務省)入省後、23年間で広島・海田税務署長、G7 サミット代表団員金融機関監督管理職、横浜税関総務部長、主計局主計官等女性初のポストを歴任。2005年小泉総理のお声がかりで静岡7区(浜松・湖西)で選挙区当選し一期四年で経産政務官、党広報局長等を歴任。・2010年7 月参議院比例区自民党トップ当選(約30 万人に名前を書いて頂きました)副幹事長、総務政務官、予算委理事、環境部会長、外交防衛委員長、総務副会長等を歴任、・2016 年7 月、約40 万票で再選(女性で1 位、自民党現職で1 位)、現在は自民党政調会長代理、参議院政審会長代理、一億総活躍推進本部事務局長、経済構造改革に関する特命委員会副委員長、地方創生実行統合本部副本部長、外交・経済連携本部国際情報検討委員長代行、資源・エネルギー戦略調査会副会長、再生可能エネルギー普及拡大委員長、環境・温暖化対策調査会副会長、金融調査会副会長を務める。