闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論~(第26回)|対談|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2022.02.07

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論~(第26回)

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論~(第26回)
12 会社を支える家族 家族を支える会社①

 野村監督には、監督と同じように有名な野村沙知代さんという奥様がいた。「いた」、という過去形になってしまうのが残念である。

 野村監督の沙知代さんへの有名な言葉で、

「仕事は世の中にたくさんあるけれど、伊藤沙知代は世界にただ一人しかおりません」

という言葉がある。
 私がその発言について聞いてみると、しかめっ面をして

「本当に俺は女運がないな。はぁ・・・」

とため息をつく。
 本音は別にして、「英雄色を好む」という言葉がありますが、野村監督にはもう一人の英雄がいたということでしょうか。
 
 野村監督は、まだ前妻との離婚が成立していない段階で前述の発言をしたため、南海をクビになった。「女性冥利に尽きる」というの良いのか、それとも無鉄砲というのが正しいかは分からないが、付き合っていても「付き合っていない」と答える今の芸能界と違い、男らしく責任をとったと言えるのではないか。
 普通であれば、今まで築いた地位を捨ててしまったことを後悔し、後になって発言を撤回しそうなものだ。しかし、野球界には復帰できないと考えていた野村監督に対して沙知代さんは、「ごめんなさい」や「がんばりましょう」とは一切言わず、「何とかなるわよ!」と声をかけたそうです。これもまたカッコいいではないか。
これを言われては、男は後ろを振り返ることはできない。ただただ、安心して前を向くだけだ。
 90年代、おしどり夫婦として度々メディアに登場することになる野村監督・沙知代夫妻の物語はこうして始まった。そして同時に、野村監督は闘将としての歩みをスタートさせた。

(次号へ続く)