闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第17回)|対談|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2021.05.03

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第17回)

闘将野村~弱小企業を一流へと導く新経営理論(第17回)
08 営業に必要なものとは-仕事心と商売心②~仕事をする≠商売をする(駆け引きをする)

-野村監督のライバルは、長嶋さんよりも王さんなのですね?

野村 長嶋は記録的にはライバルとは思わなかったけど、彼は間違いなく天才ですよ。一つの例が「ささやき戦術」。バッティングは集中力、だから集中力を鈍らせようと思ってバッターボックスで話しかけるんだけど、まったく通用しなかった。「最近、銀座行ってるの?」ってささやいても、人の話は一切聞いてないんだよ。「ノムさん、このピッチャーどう?」って返事は帰ってくるから、何か言っているなという気はしていたんだろうけど、こっちは「そんなこと聞いてないよ!」ってなるのよ。

-それを上回る集中力があったのですかね。

野村 バットをクルクル回して、バットの芯がどうのこうのって考えもしないしね。ピッチャーが振りかぶったときのあの集中力は、さすがにすごかったね。

-他の選手は、その「ささやき戦術」で結構気が散ったりしたものなのですか?

野村 集中力が鈍るんだよ。

-それはそうですよね。次はどんな配給がくるのかなというときに余計なことを言われるとね。

野村 ほんのちょっとだけでいいんだよ。それから、なんとかバッターにインコースを意識させると効果あるわな。結局は、要求はアウトコース中心なんだけど、インコース来るんじゃないかと思わせるとアウトコース引いてくるよ。

-それはどうやって意識させるんですか?

野村 例えば、ランナー一塁でゲッツーを取りたいとき、牽制後にスライダー。ピッチャーには「牽制してファーストからボールを受けるときに、一切俺を見るな」と言っておくの。下向くようなふりをしてチラッと横目でキャッチャーの構えているところを見るバッターがいるの。そこで牽制させて、インコースに寄ってチラッと見ているからヨシヨシと思って、これはよく引っ掛かったね。「インコースいくぞ!」と思わせて牽制させると、実はスライダーをアウトコースに。

-今、そういうことをやっている選手はいるのですか?

野村 いない、いない。

-そういうやり方を教えたりはしなかったんですか?

野村 そういう話はしょっちゅうしてたけど、みんな全然興味ないのよ。でも、やっぱり勝負事なんだから。騙し合いなんだから。

-駆け引きは大事ですよね。

野村 彼らは野球をしているんだよ。バッティングをしてるんだよ。でも今の連中は勝負をしてない。勝負心が一切ないね。そういうの、ものすごくイライラするね。

(次号へ続く)