~苦労と誘惑~
対談も終盤、隣でにこやかに話を聞いているマネージャーさんがいる。スマートな背の高い紳士的な方である。最後はみなさんを交えて話を聞いた。
-芸能人という場所は、程度の差こそあれ、個人事業主のようなところがあると思います。途中でもう辞めようかなとか、くじけそうになったりしたことはなかったのですか。
杉原 最初に売れてなさ過ぎて、プライドもなくなって、どんな仕事でもやろうと思ってやっていました。でも、売れなかった時間が5年と、結構長かったお陰で、その後はそんなに苦労しなかったのですよね。辞めたいなって思ったこともあったかな?仕事をやりたい、やりたいしかなかったですね。
全くみなさんに知って頂けていない時間の中で、ここからは自分のできることで一生懸命やろうっていう、何かスイッチのようなものが入ったんでしょうね。そこからは苦労を苦労と思いませんでした。ただ、その下積み時代のせいで、人を信用しないっていうのは身に付いてしまいましたけれど。
-そうですか。芸能界も入れ替わり激しい業界ですからね。
杉原 若い頃に「僕がプロデューサーだから、君可愛いからテレビ出してあげるよ」って言われて、「本当ですか?」って思っていたんですが、何年経とうが出してもらえない。大人は全員嘘つきなんだって、その時思いました。
-はじめの頃にそうした経験をされているのですね。
杉原 だいぶはじめの頃に経験して、自分で何かやらないと変わるわけがないなっていうのを気付かされたので、良いことだったのですけど。でも、誰に対しても心をあまり開かない人になってしまいましたね。
芸能界の下積みが5年間、女性で女優やグラビアで売り出すとしたら年齢的制限もある。普通であれば諦めてしまうのだろう。それでも自分を信じてやり続ける。株と一緒で、結果は分からないが、現在まで活躍できた理由は、間違いなく諦めない心があったからだろう。
-初対面の人とは、いつも一定の壁を作って接しているのですか。
杉原 そうです。仕事のときは全然ないですけれど、いざ終わると壁を閉めてしまう傾向がありますね。マネージャーですらはじめて担当になったときは、「これからこういう風にしていこう」とか、「こういう風にしていく」っていうのを一切信じなかったですね。ちゃんとそれが現実になってから、はじめて信じられましたね。
-私もこの業界の方とお会いする機会が多いですが、大体みなさん、大風呂敷を広げたがりますよね。3割増し、5割増しなんて当たり前です。
杉原 そうなんです。だから「また言っているわ」って思っています。
-マネージャーさんは、もう今何年くらい杉原さんを担当されているのですか。
マネージャー もう10年です。
-もう10年になるんですね、長いですよね。
杉原 なので、ようやく信用できるようになりました。
-途中、喧嘩したりしたことはなかったのですか。
杉原 何回か喧嘩して、「マネージャーさん替えて下さい」って言ったこともありましたけど、他にマネージャーさんがいないので…。
-今は、仕事はあまり選ばないという主義なのですか。
杉原 私は一切選んだことないです。その代わり、マネージャーさんがジャッジをしてくれています。今はもうすっかり信頼しているので、頂けるお仕事は全部、受けていると思います。
-普段、趣味や興味があるものはあるのでしょうか。
杉原 ゲームをやっているか、戦国漫画を読んでいるか、チャートを見ているかなので、全部が家の中で事足りてしまいます。
-スタッフさんもみなんさん、株をされているのですよね。
杉原 みんな「あいつができるんだったら俺もできる」みたいな感じです。
マネージャー 杉原の担当になってから株をやっているというのを知りました。だから担当になったばかりの頃は、株のことは全然分かりませんでした。
杉原 なんか怒られそうで。「そんなことやっている暇があったら仕事しろ」とか言われそうだから(笑)。
マネージャー 株をやっていると知ったのは、5、6年経ってからです。
杉原 株をやっているって話す仲でもなかったので。
マネージャー ずっとブログを書いているのだろうな、と思ってました。まさか株だったは。
10年というが、毎日のように仕事で顔を合わせていることを考えると、学生時代の友人やカップルよりも、付合い自体は長くなるかもしれない。時折マネージャーを見る目を見ると、お互いに信頼し合って仕事をしているのがよく分かる。
きっと10年の中で、何回も大きな喧嘩をしたに違いない。それでも、今こうした良好な関係が築けているのは、株が取り持つ仲というものもあるからだろうと思った。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。次にお会いする時は、不動産投資のことについて色々聞いてみたいと思った。
(Fin)
杉原杏璃(すぎはら・あんり)
広島県福山市出身。2003年デビュー以来、女優・タレント・グラビアとマルチに活躍。株式投資で成功を収めており、2015年には「財テクタレント」及び「株ドル(投資アイドル)」と呼ばれる。2012年、広島県観光秘書に就任。2015年に発表した自伝的小説『…and LOVE』が、2017年に自らの主演で映画化。2017年1月には、『Last Kiss~杉原杏璃ファイナルイメージ』で最後のDVDを発売。
インタビューアー 住生活新聞 金融・投資政策部
1973年生まれ 株式・商品先物・不動産・金融取材を専門とする。証券会社に就職後、都市銀行の金融派生商品や債権処理を請負う。2015年から住生活新聞 金融・投資政策部 主任。
対談も終盤、隣でにこやかに話を聞いているマネージャーさんがいる。スマートな背の高い紳士的な方である。最後はみなさんを交えて話を聞いた。
-芸能人という場所は、程度の差こそあれ、個人事業主のようなところがあると思います。途中でもう辞めようかなとか、くじけそうになったりしたことはなかったのですか。
杉原 最初に売れてなさ過ぎて、プライドもなくなって、どんな仕事でもやろうと思ってやっていました。でも、売れなかった時間が5年と、結構長かったお陰で、その後はそんなに苦労しなかったのですよね。辞めたいなって思ったこともあったかな?仕事をやりたい、やりたいしかなかったですね。
全くみなさんに知って頂けていない時間の中で、ここからは自分のできることで一生懸命やろうっていう、何かスイッチのようなものが入ったんでしょうね。そこからは苦労を苦労と思いませんでした。ただ、その下積み時代のせいで、人を信用しないっていうのは身に付いてしまいましたけれど。
-そうですか。芸能界も入れ替わり激しい業界ですからね。
杉原 若い頃に「僕がプロデューサーだから、君可愛いからテレビ出してあげるよ」って言われて、「本当ですか?」って思っていたんですが、何年経とうが出してもらえない。大人は全員嘘つきなんだって、その時思いました。
-はじめの頃にそうした経験をされているのですね。
杉原 だいぶはじめの頃に経験して、自分で何かやらないと変わるわけがないなっていうのを気付かされたので、良いことだったのですけど。でも、誰に対しても心をあまり開かない人になってしまいましたね。
芸能界の下積みが5年間、女性で女優やグラビアで売り出すとしたら年齢的制限もある。普通であれば諦めてしまうのだろう。それでも自分を信じてやり続ける。株と一緒で、結果は分からないが、現在まで活躍できた理由は、間違いなく諦めない心があったからだろう。
-初対面の人とは、いつも一定の壁を作って接しているのですか。
杉原 そうです。仕事のときは全然ないですけれど、いざ終わると壁を閉めてしまう傾向がありますね。マネージャーですらはじめて担当になったときは、「これからこういう風にしていこう」とか、「こういう風にしていく」っていうのを一切信じなかったですね。ちゃんとそれが現実になってから、はじめて信じられましたね。
-私もこの業界の方とお会いする機会が多いですが、大体みなさん、大風呂敷を広げたがりますよね。3割増し、5割増しなんて当たり前です。
杉原 そうなんです。だから「また言っているわ」って思っています。
-マネージャーさんは、もう今何年くらい杉原さんを担当されているのですか。
マネージャー もう10年です。
-もう10年になるんですね、長いですよね。
杉原 なので、ようやく信用できるようになりました。
-途中、喧嘩したりしたことはなかったのですか。
杉原 何回か喧嘩して、「マネージャーさん替えて下さい」って言ったこともありましたけど、他にマネージャーさんがいないので…。
-今は、仕事はあまり選ばないという主義なのですか。
杉原 私は一切選んだことないです。その代わり、マネージャーさんがジャッジをしてくれています。今はもうすっかり信頼しているので、頂けるお仕事は全部、受けていると思います。
-普段、趣味や興味があるものはあるのでしょうか。
杉原 ゲームをやっているか、戦国漫画を読んでいるか、チャートを見ているかなので、全部が家の中で事足りてしまいます。
-スタッフさんもみなんさん、株をされているのですよね。
杉原 みんな「あいつができるんだったら俺もできる」みたいな感じです。
マネージャー 杉原の担当になってから株をやっているというのを知りました。だから担当になったばかりの頃は、株のことは全然分かりませんでした。
杉原 なんか怒られそうで。「そんなことやっている暇があったら仕事しろ」とか言われそうだから(笑)。
マネージャー 株をやっていると知ったのは、5、6年経ってからです。
杉原 株をやっているって話す仲でもなかったので。
マネージャー ずっとブログを書いているのだろうな、と思ってました。まさか株だったは。
10年というが、毎日のように仕事で顔を合わせていることを考えると、学生時代の友人やカップルよりも、付合い自体は長くなるかもしれない。時折マネージャーを見る目を見ると、お互いに信頼し合って仕事をしているのがよく分かる。
きっと10年の中で、何回も大きな喧嘩をしたに違いない。それでも、今こうした良好な関係が築けているのは、株が取り持つ仲というものもあるからだろうと思った。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。次にお会いする時は、不動産投資のことについて色々聞いてみたいと思った。
(Fin)
杉原杏璃(すぎはら・あんり)
広島県福山市出身。2003年デビュー以来、女優・タレント・グラビアとマルチに活躍。株式投資で成功を収めており、2015年には「財テクタレント」及び「株ドル(投資アイドル)」と呼ばれる。2012年、広島県観光秘書に就任。2015年に発表した自伝的小説『…and LOVE』が、2017年に自らの主演で映画化。2017年1月には、『Last Kiss~杉原杏璃ファイナルイメージ』で最後のDVDを発売。
インタビューアー 住生活新聞 金融・投資政策部
1973年生まれ 株式・商品先物・不動産・金融取材を専門とする。証券会社に就職後、都市銀行の金融派生商品や債権処理を請負う。2015年から住生活新聞 金融・投資政策部 主任。