契約する前に家族・知人に相談を!
悪質なリフォーム業者による詐欺事件が後を絶ちません。その数は年々増加傾向にあり、中でも一人暮らしの高齢者が被害に遭うケースが多発しています。詐欺被害に遭わないためにはどうすれば良いのか、実例をもとに対策を検証します。
2017年にご主人に先立たれ、以降、築40年の木造戸建で1人暮らしをしていたという矢沢秋江さん(70)。ある日、いつものように家の前の道を掃き掃除していると、見知らぬ男性に声をかけられました。
「おはようございます。Sリフォーム社の山田(仮名)と言います。最近、この地区の営業担当を任されたのでご挨拶に来ました」
普段は訪問販売の営業を一切断っている矢沢さんでしたが、山田の誠実そうな雰囲気に対し、好印象を抱いたそうです。以降、山田は掃除をしている矢沢さんにたまに声をかけてくるようになり、その頻度は徐々に増えていました。最初にやってきてから2ヶ月ほどした頃には、1週間に1回は顔を合わせるようになり、世間話もするようになっていたそうです。
そんなある日、矢沢さんがいつものように家の前を掃除していると、いつもとは少し様子の違った山田が声をかけてきました。
「実はちょっとご相談があって来ました。今月のノルマが達成できてなくて、上司に怒られてしまいました。とりあえずちゃんと営業をしているという証拠だけでも見せないといけないので、ご自宅の点検をさせてもらえませんか?特にお金がかかるものではありませんし、そんなに時間もかかりません。どうかご協力ください」
矢沢さんは追い詰められた表情をする山田に同情し、無料であることを再度確認した上で点検に協力することにしました。しかし、これが大きな誤りでした。
山田は矢沢さんから了解を得るとすぐに、近所に停めていた車に戻って点検担当という別の男性を連れてきました。そしてそのまま矢沢さん宅に上がり込むと、2人で調査を始めました。2人で家の点検を済ませると、山田は深刻そうな表情で、矢沢さんに次のように言いました。
「おおむね大丈夫だったのですが、1点だけ気になる箇所が見つかりました。配水管がだいぶ傷んでいるようで、このまま放置していたら破裂してご近所中を水浸しにしてしまうかもしれません。これも何かのご縁です。通常よりもお安くしておきますので、この機に直しちゃいましょう」
このときまったく予想だにしていなかった事態に、矢沢さんは困惑したそうです。山田はなお畳みかけるように、
「当社もそれほど人手がいるわけではありません。今ならすぐに対処できますが、後日だとすぐに人を手配できるか分かりません。最悪修理が遅れて、とんでもない事態になるかもしれませんよ」
と、それまでとは打って変わった強い口調で言いました。散々、不安をあおられた矢沢さんは、30分ほど悩んだ後、山田に修理を頼んでしまいました。
翌日、山田は作業員2人を伴ってやってくると、挨拶もほどほどに作業を開始。修理は約1時間で終了し、矢沢さんに状況の報告をしました。
「もうこれで安心です。早い段階で対処できてよかったですね。あぁ、そうそう。作業中、他にもいくつか問題が見つかったので、ついでに直しておきました。今回の代金は全部まとめて50万円になります」
金額を聞いた矢沢さんはびっくりし、
「安くできると聞いたからお願いしたのに、いくらなんでも高過ぎます」
これに対し山田は
「これでもだいぶお安くしているんですよ。もう作業を終えてしまったんで、うちとしてはちゃんとお支払いして頂かないと困ります」
と答えました。矢沢さんは追加の修理はお願いしていないと抵抗したものの、30分ほどやりとりした挙句、最後は根負けしてしまい山田の要求通りの金額を支払ったそうです。
この話を後で聞いた矢沢さんの息子さんは「これはおかしい」と感じて、リフォーム会社に勤める友人に相談いました。友人は
・配水管の交換がわずか1時間で終わったこと
・追加で何を修理したのかが不明なこと
に疑問を感じ、修理したという箇所を中心に家の点検を行いました。その結果、配水管を交換した痕跡はいっさい見つからず、追加修理という場所も確認できなかったそうです。矢沢さんは、山田に騙されていたのです。
「息子に言われてすぐに消費者センターに相談しました。しかし、詐欺が立証されたとしても、お金が返ってくる可能性はほとんどないということでした。高い授業料になってしまったなと反省しました」
「無料点検」を謳って高額なリフォーム工事を契約させる悪質業者は、全国各地にいます。リフォームに限らず、高額な商品の購入を勧められた場合は、すぐに自分だけで判断せずに、必ず家族に相談するようにと、ご両親と取り決めておくようにしましょう。
悪質なリフォーム業者による詐欺事件が後を絶ちません。その数は年々増加傾向にあり、中でも一人暮らしの高齢者が被害に遭うケースが多発しています。詐欺被害に遭わないためにはどうすれば良いのか、実例をもとに対策を検証します。
2017年にご主人に先立たれ、以降、築40年の木造戸建で1人暮らしをしていたという矢沢秋江さん(70)。ある日、いつものように家の前の道を掃き掃除していると、見知らぬ男性に声をかけられました。
「おはようございます。Sリフォーム社の山田(仮名)と言います。最近、この地区の営業担当を任されたのでご挨拶に来ました」
普段は訪問販売の営業を一切断っている矢沢さんでしたが、山田の誠実そうな雰囲気に対し、好印象を抱いたそうです。以降、山田は掃除をしている矢沢さんにたまに声をかけてくるようになり、その頻度は徐々に増えていました。最初にやってきてから2ヶ月ほどした頃には、1週間に1回は顔を合わせるようになり、世間話もするようになっていたそうです。
そんなある日、矢沢さんがいつものように家の前を掃除していると、いつもとは少し様子の違った山田が声をかけてきました。
「実はちょっとご相談があって来ました。今月のノルマが達成できてなくて、上司に怒られてしまいました。とりあえずちゃんと営業をしているという証拠だけでも見せないといけないので、ご自宅の点検をさせてもらえませんか?特にお金がかかるものではありませんし、そんなに時間もかかりません。どうかご協力ください」
矢沢さんは追い詰められた表情をする山田に同情し、無料であることを再度確認した上で点検に協力することにしました。しかし、これが大きな誤りでした。
山田は矢沢さんから了解を得るとすぐに、近所に停めていた車に戻って点検担当という別の男性を連れてきました。そしてそのまま矢沢さん宅に上がり込むと、2人で調査を始めました。2人で家の点検を済ませると、山田は深刻そうな表情で、矢沢さんに次のように言いました。
「おおむね大丈夫だったのですが、1点だけ気になる箇所が見つかりました。配水管がだいぶ傷んでいるようで、このまま放置していたら破裂してご近所中を水浸しにしてしまうかもしれません。これも何かのご縁です。通常よりもお安くしておきますので、この機に直しちゃいましょう」
このときまったく予想だにしていなかった事態に、矢沢さんは困惑したそうです。山田はなお畳みかけるように、
「当社もそれほど人手がいるわけではありません。今ならすぐに対処できますが、後日だとすぐに人を手配できるか分かりません。最悪修理が遅れて、とんでもない事態になるかもしれませんよ」
と、それまでとは打って変わった強い口調で言いました。散々、不安をあおられた矢沢さんは、30分ほど悩んだ後、山田に修理を頼んでしまいました。
翌日、山田は作業員2人を伴ってやってくると、挨拶もほどほどに作業を開始。修理は約1時間で終了し、矢沢さんに状況の報告をしました。
「もうこれで安心です。早い段階で対処できてよかったですね。あぁ、そうそう。作業中、他にもいくつか問題が見つかったので、ついでに直しておきました。今回の代金は全部まとめて50万円になります」
金額を聞いた矢沢さんはびっくりし、
「安くできると聞いたからお願いしたのに、いくらなんでも高過ぎます」
これに対し山田は
「これでもだいぶお安くしているんですよ。もう作業を終えてしまったんで、うちとしてはちゃんとお支払いして頂かないと困ります」
と答えました。矢沢さんは追加の修理はお願いしていないと抵抗したものの、30分ほどやりとりした挙句、最後は根負けしてしまい山田の要求通りの金額を支払ったそうです。
この話を後で聞いた矢沢さんの息子さんは「これはおかしい」と感じて、リフォーム会社に勤める友人に相談いました。友人は
・配水管の交換がわずか1時間で終わったこと
・追加で何を修理したのかが不明なこと
に疑問を感じ、修理したという箇所を中心に家の点検を行いました。その結果、配水管を交換した痕跡はいっさい見つからず、追加修理という場所も確認できなかったそうです。矢沢さんは、山田に騙されていたのです。
「息子に言われてすぐに消費者センターに相談しました。しかし、詐欺が立証されたとしても、お金が返ってくる可能性はほとんどないということでした。高い授業料になってしまったなと反省しました」
「無料点検」を謳って高額なリフォーム工事を契約させる悪質業者は、全国各地にいます。リフォームに限らず、高額な商品の購入を勧められた場合は、すぐに自分だけで判断せずに、必ず家族に相談するようにと、ご両親と取り決めておくようにしましょう。