リフォームを巡るトラブルが後を絶ちません。国民生活センターには毎年、1万件を超える問い合わせが寄せられており、さらにその数は一向に減る気配が見えません。リフォームを考えている方は、気分良く新生活をスタートさせるためにも、絶対にトラブルに巻き込まれないように、事前にしっかり予防法を学んでおきましょう。実例とともに対策をご紹介します。
「打ち合わせの時に聞いていたのと色味が全然違う。とても楽しみにしていただけに、ものすごくがっかりした・・・」
2017年にご自宅をリフォームした柳下智明・裕子さん夫妻は、当時をこう振り返りました。
柳下夫妻は2016年末に、都内で当時築30年になる中古マンションを購入しました。さすが築30年というだけあって、設備関連はどれも使い勝手が悪く、床や壁も手垢や日焼けでかなり汚れていました。そこでご夫妻は、マンションでの新生活を3月にし、それまでにマンションをフルリフォームすることにしました。
施工を頼んだのは、マンションを仲介してくれた不動産会社から紹介された地場のリフォーム会社でした。マンション購入後すぐに打ち合わせを始め、年明け早々にプランが完成。1月下旬に工事を始め、3月上旬に引き渡しの予定で契約したそうです。
「打ち合わせはかなり綿密に行いました。特に妻はかなり細かいところまでこだわっていて、隣で診ていた僕が『そこまでこだわらなくてもいいのに・・・』と思わず愚痴をこぼしたこともありました」
工事は順調に進みました。ご夫妻は工事中に2回ほど現場を訪れたそうです。そして3月、予定よりも2日ほど早く工事が完了し、ご夫妻立ち会いのもとで物件の引き渡しが行われました。
「胸の高鳴りを抑えきれないというか、とにかくものすごく楽しみにして現場に行きました。しかし、それがまさかあんなことになるなんて・・・」
玄関を入るとすぐ右手には、足元から天井まである大容量のシューズボックスが設置してあります。これはオーダーで作ってもらったもので、その出来栄えにご夫婦はとても喜んだそうです。
そして洗面所、浴室、トイレと順に見ていき、メーンのリビングルームに入ったとき、事件は起きました。それまでとても機嫌のよかった裕子さんの表情が、リビングに一歩足を踏み入れるなり、みるみるうちに怒り顔に変わったというのです。
「どかしたのか？」
と心配そうに問いかける智明さんをよそに、裕子さんはリフォーム会社の担当者に対して
「これはどういうことなの？床の色が頼んでいたものと全然違うじゃないの！私はこんな色を指定した覚えはないわ！すぐに張り替えてちょうだい！」
担当者は裕子さんの突然の豹変ぶりにびっくりしながらも、次のように言いました。
「仕様書によると、ご指定頂いた色のもので間違いありませんよ」
その言葉を聞いた裕子さんはスマホを取り出し、1枚の画像を表示させながら次のように言いました。
「私はこの画像のこんな感じの色味にして欲しいと言ったの。どう見てもこちらの画像の方が明るいじゃないの！」
ご主人と担当者が画像と床を見比べたところ、確かに画像の方が色味は明るく見えたそうです。しかし、それは日の当たり方やスマホ画像の画質で見え方が違っているだけで、担当者の言うように、色の指定としては間違っていませんでした。しかし、納得のいかない裕子さんは
「この画像のように見えないのなら、なんでそう言ってくれなかったの？そもそも打ち合わせの際にもこの画像は見せたじゃないの！」
怒りの収まらない裕子さんは、フローリングの張り替えを主張して譲りませんでした。結局、智明さんはその日、引渡書にサインをすることができず、いったん仕切り直すことになったそうです。
「2日がかりで妻を説得し、どうにか納得してもらいました。画像の色味とは確かに若干違いますが、あんなに起こるとは思っても見ませんでした」
実際の現場を見たらイメージと違ったというトラブルは、実はよくあります。原因はコミュニケーション不足です。本文中にもあったように、床や壁の印象は、日差しや照明の当たり方一つでだいぶ変わります。そもそもまったく同じイメージに仕上がることの方が珍しいくらいです。トラブルを防ぐためには、事前にその辺りのことも含め、きちんと摺合せしておく必要があります。
リフォームに関するトラブルのご相談は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。
