リフォーム取引販売士に聞きました~補助金の不正受給は犯罪です!~|リフォーム|住生活を支える新聞株式会社のWebマガジン
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2022.02.14

リフォーム取引販売士に聞きました~補助金の不正受給は犯罪です!~

リフォーム取引販売士に聞きました~補助金の不正受給は犯罪です!~
工事計画書の改竄を指示する悪徳顧客

 「リフォーム詐欺」と聞いてまず頭に思い浮かぶのは、不必要な改修工事をさせたり、高額な工事代金を騙し取る悪徳リフォーム業者です。しかし、「リフォーム詐欺」という言葉は、業者にだけ使われる言葉ではありません。時には、消費者も「リフォーム詐欺」の加害者となることがあります。前号では、リフォーム業者が消費者に補助金を騙し取ろうと、話を持ち掛けた事例を取り上げましたが、今回はその逆で、消費者がリフォーム業者に補助金をもらうために詐欺話を持ちかけた事例をご紹介します。

「今回、キッチンのリフォームしたいねん。ついでにいろんな工事をしたことにして補助金をもらおうと思っとるんやけど、工事計画書の内容を書き換えてもらえへんやろうか。もちろん、もらえた額に応じてそちらさんにも分け前は出しますわ」

 大阪府下を対象に、一般住宅やマンションなどリフォーム工事を行うA工務店は今から3年前、ホームページを見て問い合わせてきたお客様Y氏と面談した際に、上記のような要望を受けました。A工務店の担当者は最初、言われたときはよく意味が理解できず、

「補助金をもらうための要件を満たすリフォーム工事をご希望なんですね。耐震補強、省エネリフォーム、バリアフリーといった工事が対象になりますが、どんな内容のものをご希望でしょうか」

と答えました。すると、Y氏は突然烈火のごとく怒りだし、

「ちゃうわ!リフォームするのはキッチンだけや言うたやろ!耐震だか省エネだか知らんけど、ついでにそういう工事もまとめてしたことにして、補助金をもらえるようにしてくれ言うとんねん!」

これで担当者は、ようやくY氏が自分に何を求められているのかを理解しました。要は、補助金を騙し取るために、工事書類一式を改竄してくれと頼んでいるわけです。
 国や自治体は、一定の要件を満たしたリフォーム工事に対して補助金や助成金を支給しています。

「どうせたいした金額はもらえないんだろう」

と高をくくっている方もおられるかもしれませんが、そんなことはありません。中には支給額が100万円、200万円というものまであるので、リフォーム工事をする際は、利用できる制度がないか、事前に必ず確認するようにして下さい。
 さて、話を戻しますが、仮にY氏の要望通りにA工務店が、補助金制度の対象となるように計画書を改竄したらどんなことになるのでしょうか?
 補助金に関しては、「補助金適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)というルールがあります。もしルールを破って補助金を不正受給したことがバレると、もちろん受給した補助金を全額返還しなければなりません。しかも、返還されるまでは年に10.95%のペナルティが加算されます。
 また、それにかかわった事業者は経済産業省のホームページで「補助金交付等停止措置企業」、つまりは“補助金を騙し取ろうとした悪徳業者”として公表されます。さらに詐欺罪で告訴されることもあります。当然、公表された業者は、社会的信用が失墜しますから、営業面で大きなダメージを受けることになります。信用を回復するのは容易ではなく、最悪の場合、倒産することになります。
 Y氏からすれば、バレてもお金を払えば済むので、「もらえたらラッキー」程度だったのかもしれません。しかし、A工務店からすればリスクが大き過ぎます。積み重ねてきた信用と実績を投げ出すほどの価値は、当然ながらありません。担当者は

「申し訳ありません。当社は20年間、まじめにやってきた会社ですので、Y様のご希望に沿うことはできません。今回はご縁がなかったということで、このお話は遠慮させて頂きます」

と言ってその場を辞去したそうです。
 半年後、担当者が別件でたまたまY氏宅の近所に行くことがありました。その後の状況が気になった担当者はY氏宅の様子を見に行ったそうです。

「外から見た感じ、リフォームが行われた形跡はありませんでした。当たり前ですよね、あんな話に乗っかる業者がいるとは思えません。バックがもらえる云々以前の問題です」

 補助金・助成金制度の悪用を考えるのは業者だけではありません。みなさんも、目の前のお金に目がくらんで失敗しないように、制度の正しい使い方を学んでください。補助金制度を活用したリフォームのご相談は、お近くの全国優良リフォーム会員まで。